【趣味#2】2023年に読んだ本ベスト10

今年の読書数は、76冊だった。

前半は仕事が忙しかったので、通勤時間でKindleをちょこちょこ読む程度だった。
だが、後半はうつ病になって休職したこともあり、図書館に通って結構読むことができた。

個人的な趣味趣向が大いに出るランキングになるため、「一般の人」にはどれぐらいオススメかも付記する。

【一般オススメ度:特になし(江戸に興味ある人だけ)】

自分は今年、モノを大量に捨てて、ミニマルライフを目指した年となったが、日本人のミニマリズムの源流は江戸時代にあるように思う。

江戸の町人は、四畳半と土間だけの長屋を安く借りて住み、トイレは共同、自分の家財道具は最小で、火事ですぐ燃えてしまうのでレンタル品も多く使っていた。
一人暮らしのメンズは、朝に米を5合炊いて、朝は「炊き立てのご飯と汁物」、昼は「冷飯とお新香or魚」、夜は「冷飯を茶漬け」みたいな食生活をしていて、おかずは家の前まで売りにくる行商から買ったりしていた。米さえ炊けばなんとかなったのだ。

この本は、「今あなたがこれから江戸の街に移住するなら、こういう人を頼って、こういう手続きをして、こういう生活をするといいですよ」と、「本当にこれから引っ越すという設定」でガイドが語りかけてくるのが面白く、堅苦しくもないのでグングン引き込まれて読んでしまった。

【一般オススメ度:気になれば読んで損なし】

表紙はめちゃくちゃ胡散臭いのだが、FIREの走りともいえるある女性が記した、ものすごい実直な本。

ノウハウについて体系的にまとめられた本ではなく、彼女の「超ど貧困からFIREを達成するまでの壮絶な人生ストーリー」がメインで語られていく。
そのため、一つの小説を読んでいるかのような気持ちで、彼女を応援し、彼女の凄さに感嘆する。

どんな人でも、資本主義国家に住んでいる限りは“お金”からは逃れられないので、FIREを達成できるかどうかは別として、FIREとは一体どういう状態なのかを知っておくと、なんとなく向かう方向の参考になるんじゃないかなと自分は思っている。

他の「マニュアル的な本」でもいいのかもしれないけど、単純にこの本は、物語として面白かった。

【一般オススメ度:気になれば読んで損なし】

長崎に移住した女性が、地元の猪を狩る猟師に興味を持ち、何年も追いかけて取材した本。

罠にかかり、必死に生きようと自分の全てを使って抵抗する猪に対し、自らの手でその命を殺し、解体して、料理して、おいしく食べて、皮を加工してムダなく使う。
そして、人間も死ねば、分解者に解体され、また次の生命に繋がっていき、自然の中で命が循環する。

我々、普通の一般人は、「すでに加工されたスーパーの肉」を買っているが、当たり前だがそれは本当は「生き物」だったのだ。
“肉を食べる人間”は、どんな人でも読んで損はないと思った1冊。

筆者の女性の、「悩みながらも狩猟にのめり込んでいく、等身大の感情」に惹きつけられ、狩猟シーンの壮絶さに息を呑む。

【一般オススメ度:毎日の料理に悩むすべての人へ】

「別に、普段家で食べる食事は、一汁一菜でよくないっすか?」という本。

おもしろいのは、それを「テレビで沢山の料理を紹介している料理研究家」の土井先生が言っているということ。

日本人は、「朝あれを作って…昼はかぶらないようにあれを作って…でも一昨日あれだったから変えようかしら…夜は○品作らないと…そしてまた明日の朝は…」と、永遠に料理のバリエーションを考え続け、膨大な時間を注ぎ込んで、自分の時間がなくなっている

でも、「色んな種類の豊かな料理=ハレの料理」は特別な席で食べて、「普段の日常食=ケの料理」は地味だけど簡単美味しい一汁一菜でいいよね、という考え方。これは、自分の食生活に革命的に影響を与えた。

自分は料理をめっきりしてこなかったのだが、「米を炊いて、超具だくさん汁を作る」ぐらいなら出来る。
現にそれを続けていて、別に飽きもしないし、何より自分の作る汁がガチで美味しいので、毎日幸せである。

【一般オススメ度:1歩先の健康法を知りたい人へ】

北極圏をパンツ1枚でフルマラソン走ったり、上半身裸でキリマンジャロ登ったり、氷の張った湖に潜って泳いだりする、スーパーおじさんによる、「体を低温に晒すことで強い身体を作れる」という本。

科学的エビデンスは弱く、”おもしろ本”という印象もあるが、名著『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』でも「低温に晒されるようなサバイバル状態では、長寿遺伝子(サーチュイン)が活性化する」と語られているので、あながち間違ってもなさそうという内容。

自分は、特に寒冷順化・暑熱順化について興味があって調べていて、「体感的にそうだな」と思う感じがあったので、非常に感銘を受けた本となった。(詳しくはこちら

本書では、筆者のように極端なトレーニングではなく、「まずは数十秒から冷水シャワーを浴びてみよう」という易しい(?)方法から教えてくれる。

【一般オススメ度:どんな人にもオススメ】

「世界幸福度ランキング1位のフィジーという国の人たちは、経済的には豊かではないのに、なぜ幸せなのか?」という内容を、実際にフィジーに移住した日本人の人が書いた本。

その秘訣は、「テキトーでいること、今を生きること、あらゆるものを共有すること」など、一見するとよく聞くモノだが、「実際に住んでどういうところでそれが発揮されているのか」が書かれているので、具体的にわかりやすい。

自分も読み終わって、「いやあ、この人たちはそりゃあ幸せになるわ」と心の底から思った。

でも、自分はうつ病になるぐらい「幸せになるのがヘタ」なのでまだこの本を活かしきれていないが、エッセンスが少しは心に染み込んだような気がしている。

【一般オススメ度:今うつ病急性期の人のみ】

自分は半年前にうつ病になったのだが、その時に、何もできず、ただ倒れていながら、スマホでうつ関連のKindle本を読み漁っていた。

その中で出会った1冊で、表紙は軽い印象なのだが、「うつ病になって本気で何回も自殺未遂した筆者が、寛解してから振り返って、その地獄のどん底の時に知りたかった内容」を書いてくれている。

自分もガチで生きるか死ぬかみたいな精神状態だったので、「ああ、同じように死のうとしてた人もいるんだ」「その人でも“死のうとするのはうつ病の症状”だって言うんなら、きっとそうなんだろうな」「今はひとまず何も考えずじっとしていよう」と考えることができるようになった。
なんだか同じ境遇の仲間ができたようで、寄り添ってくれているようで、ものすごく救われた。

【一般オススメ度:心のあり方に悩むすべての人へ】

一時期ベストセラーになった本で、自分も発売当初に買って読んでいたのだが、当時はそんなに響いていなかった。

その後、ブッダの思想に関する本を何十冊も読み漁り、この本に帰ってきた時に、とても感銘を受けた。

「すべての悩みの原因は、ムダに反応していることにある」

よく、”魂や心に関する本”を読んだとき、なんだか大きな概念が書いてあることが多いが、この本は「実は脳の中のコンマ何秒という超ミクロな世界に原因がある」のだということを教えてくれる。

ブッダの真髄というのは本当にすごい。

第2位 運動脳

【一般オススメ度:すべての人類にオススメ】

これは、人類史に残る1冊だと自分は思っている。

「脳の機能を鍛えるというときに、脳トレも勉強も実は意味がない。ただ脳トレの問題が上手くなるだけだ。脳を鍛える方法は運動しかない」

という衝撃的な事実を、科学的エビデンス満載で解説してくれる本。

さらに、運動の抗うつ薬に匹敵するような効果など、今すぐにでもランニングに行きたくなるような内容満載である。

人間である限り、読んで意味のない人はいないのではないかと思う。

【一般オススメ度:心のあり方に悩むすべての人へ】

第3位に挙げた「反応しない練習」の草薙龍瞬氏の本。

反応しない練習を、さらに体系的にわかりやすくまとめあげて、「反応・三毒・執着・業を解消して、クリーンな心を作ることこそが、自由に幸せに生きる最大の方法」というブッダの真髄が学べる。

この本には本当に衝撃を受けて、中央線の中で思わず「エウレカ!」と叫んでしまいそうになった。

このエントリーを書いている今現在で、自分の人生に影響を与えた本の第一位といっていいと思う。(それまでは『なまけ者のさとり方』という本だった)

ただし、やはり「言うは易し行うは難し」で、日々の生活の中で「できたり、できなかったり、ほとんどできない」ということを繰り返しており、気がつけば反応に流され、三毒が湧き、心が散乱して、他人に変にヘラヘラして過ごしてしまっている。

それでも、「ダメだったら気付いてまた戻る」を繰り返し続けて、少しでも身につけていきたいと思っている、2023年末の自分であります。

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